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- 5/15 藤原 裕展 (理化学研究所 生命機能科学研究センター BDR)氏のセミナーを行いました。
- 2025.05.15
藤原 裕展 (理化学研究所 生命機能科学研究センター BDR)
基底膜が作る形:動態の可視化と数理との接点
多細胞生物は、細胞と細胞外マトリックス(ECM)との相互作用によって形成され る複雑な構造体である。その中でも基底膜は、ECM のプロトタイプとも言えるシー ト状のポリマーネットワークで、近年その動的かつ階層的なふるまいが注目されて いる。我々はマウス毛包をモデルに、基底膜の分子レベルでのターンオーバーや組 織レベルでの幾何学的変化をリアルタイムかつ⻑期的に定量解析できる系を確立し、 基底膜の動態が形態形成に寄与していることを示した。さらに、基底膜や細胞に対 するアブレーション実験とその応答から力の推定も可能になりつつある。また、細 胞状態と ECM 構造との関係性を可視化するための空間トランスクリプトームと ECM 分布の網羅的統合解析にも取り組んでいる。これらの解析から、基底膜と細胞 が異なる時間・空間スケールで作動・相互作用することで形態形成に関与している 可能性が見えてきた。本セミナーでは、こうした基底膜の多階層的な振る舞いと細 胞との相互作用を紹介するとともに、数理・生命科学の新たな連携のきっかけを生 み出せればと考えています。
Wuergezhen et al. An eGFP-Col4a2 mouse model reveals basement membrane dynamics underlying hair follicle morphogenesis. Journal of Cell Biology 224 (2), e202404003 (2025)
Morita et al. Tracing the origin of hair follicle stem cells. Nature 594, 547–552 (2021)
Tsutsui et al. Mapping the molecular and structural specialization of the skin basement membrane for inter-
tissue interactions. Nature Communications 12, 2577 (2021)
Date: 5 / 15 (Thu) 14:00 –
Place: Komaba Campus, 16th bldg. Room 107