全学ゼミ「生命の普遍原理に 迫る研究体験ゼミ」案内

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生命の普遍原理に迫る研究体験ゼミ

生物普遍性研究機構では、東京大学学部前期課程において全学自由ゼミナール「生命の普遍原理に迫る研究体験ゼミ」を開いています。このゼミは、学部1,2年生むけに、通常の学生実験や授業とは異なる、最先端の科学研究の現場を体験する機会を提供することを目的とします。駒場もしくは本郷の研究室に数名づつが配属し、指導教官のもとで各テーマに沿った実験、演習、輪読などを行います。また、実習の成果について合同報告会で発表を行います。 詳細は、シラバスや、セメスターのはじめに開くガイダンスを参照してください。

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受講者の体験記

■ 金澤 貴弘

理学部物理学科(理科I類)

受講期間・所属研究室
2021 S, Aセメ・澤井研究室
2022 Sセメ・伊藤研究室
2022 Aセメ・小林研究室
全学ゼミでは、澤井研究室で細胞性粘菌に関する実験とそのデータ解析を行いました。具体的には、細胞性粘菌の子実体形成期における細胞の3次元形状の定量的な解析に取り組みました。また、伊藤研究室と小林研究室では非平衡熱力学の理論に関する研究をしました。いずれも週1回程度、実験や解析、議論をする形式でした。ゼミの進め方はフレキシブルで、基本的に自分のペースで進めることができました。 このゼミは学部前期に研究を体験できる貴重な機会だと思います。本格的な研究に取り組む初めての機会でしたが、ゼミに関わっておられる方のサポートが手厚く、楽しんで研究を進められました。そして、議論を通じて対象への理解を深めるという、研究の醍醐味を味わうことができました。また、研究の進め方や、発表やその準備の方法を一から学びました。 ゼミ全体を通して、生物に関する幅広い分野の研究に触れました。特に、物理学と生物学が密接に関わっている分野に接したことは、その後の分野選択にも影響を与えていると思います。また、実験と理論の研究のどちらも体験でき、その共通点や相違点を感じました。そして、何よりも研究の楽しさを知ることができました。

■増田 和俊

教養学部統合自然科学科統合生命科学コース4 年 柳澤研究室(理科I 類)

受講期間・所属研究室

2020 Aセメ・柳澤研究室

2021 Sセメ・柳澤研究室
正式履修は2セメスターですが2021Aセメスターまでの3セメスターに渡って柳澤研究室で「人工細胞内でのクマムシタンパク骨格の力学特性の解明」について実験研究を行いました。クマムシは乾燥すると極限環境ストレスに対して耐性を示すことで知られている生物であり、乾燥ストレス曝露中に特異的なタンパク質が細胞質中に大量発現します。このタンパク質はヒト培養細胞に発現させるとストレス依存的に線維化することが示されているので、人工細胞中での再現実験を行い、タンパクの線維化が細胞にもたらす力学的影響について明らかにすることを試みました。 初めの半期は論文を読んで研究室で扱っている分野周辺の概要を把握し、研究課題に関しては柳澤先生とも相談し当時共同研究のお話があった上記の内容を行うことにしました。その後基本的な実験手法を教えていただき、研究室に週2〜3回行かせていただき自分のペースで実験をしていました。力学特性の測定は非常に繊細で実験自体にも難航しましたが、基礎実験などと異なりあらかじめ答えが与えられている訳でない、もっと言えば上手くできるかさえ分からないことをする体験は、「研究とは何か」を実感することにつながりました。 私自身は研究者になりたいという夢もあったので、早期に研究の最前線を知ることができるこの全学ゼミはとても魅力的かつ刺激的でした。また3年次に後期課程に進学した2022年度も引き続き柳澤研究室で異なる研究課題に対して研究を行うこととなり現在に至ることを考えると、この全学ゼミが非常に良い契機となったと感じています。
全学ゼミに関連した業績(学会発表・論文発表・受賞等)
  • Tanaka, A., Nakano, T., Watanabe, K., Masuda, K., Honda, G., Kamata, S., Yasui R., Kozuka-Hata, H., Watanabe,C., Chinen, T., Kitagawa, D., Sawai, S., Oyama, M., Yanagisawa, M., Kunieda, T. “Stress-dependent cell stiffening by tardigrade tolerance proteins that reversibly form a filamentous network and gel”, PLoS biology, 20(9),e3001780 (2022).
  • 増田和俊、本田玄、田中彬寛、國枝武和、柳澤実穂, “Microscopic higher-order structures regulate macroscopic mechanical properties in artificial cells”, 第45回日本分子生物学会年会, 2022年12月1日, 口頭講演(ピックアップ), ポスター発表

連絡先 石原秀至