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SPECIAL CONTENTS 01研究者探訪 vol.204

豊田 太郎
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東京大学大学院総合文化研究科准教授 TARO
TOYOTA
豊田 太郎

2005年 東京大学総合文化研究科広域科学専攻博士課程 修了
2011年より現職
研究内容
“生命らしさ”を探究する合成化学
[質問1]

なぜ研究者になったのか

 高校生のとき、それまで医学部志望だったのですが、化学実験が好きであることを強く自覚し、友人の勧めもあって、理工系に進学することに決めました。大学生になってからは、映像系サークルをつくって活動に力を入れていたので、マスコミに就職したいと考えていました。しかし、就職活動はうまくいかず、大学院に進学することにしました。幸いにも、日本学術振興会の特別研究員に採用されたことで、研究者に向いているのかなと考えるようになりました。それでも、博士号を取得した後、ポスドクとして研究しながら就職活動しているときは、アカデミックポジションにも企業研究開発職にも応募して、ご縁があるところに進もうと決めていました。千葉大学で助手に採用していただいたことで、研究者の看板を背負うことができたと考えています。こう振り返ってみると、のらりくらりとしていますね(笑)ですので、“生命らしさ”を探究する合成化学という研究をライフワークにするきっかけをいただいた菅原正先生、金子邦彦先生をはじめとする基礎科学科(現在の統合自然科学科)や広域科学専攻の先生方、千葉大学の小熊幸一先生・藤浪真紀先生、そして日々おしゃべりしてきた先輩同輩後輩(その中には、複雑系生命システム研究センター・UBIの若本祐一さんや石原秀至さんもいます)にはとても感謝しています。
[質問2]

研究生活

 今でも覚えていますが、高校生のときに友人と「(お腹がすいていたので)なぜ人は光合成できないのか、光合成するとしたらどうするのか」とおしゃべりしたのが、化学と生物学を同時に考えるきっかけだったと思います。大学生のときにはサークル活動で映像をつくっていたので、菅原正先生の研究室での卒業研究で、「化学で細胞を創る」というプロジェクトに参加して、顕微鏡で撮影してデータ解析する実験に取り組めたことは有難かったです。それ以降25年間ずっと、研究できる時間には、論文や書籍を読んで下調べして、実験して、結果をもとに原著論文・解説記事・書籍を書いて、研究費獲得のコンペに応募しています。また、講義資料を作成して講義することや、学術集会に参加して情報交換する(学術集会の世話人を担当することもある)ことも、研究課題を見つめ直す良いきっかけになります。研究できるときには私は実験室や休憩室にいるので、研究室所属の学生には、気になることがあれば随時相談してもらって、私なりに考えたことをフィードバックするようにしています。
豊田 太郎先生
[質問3]

UBIの研究への関わり

 上記の「化学で細胞を創る」プロジェクトは、複雑系生命システム研究センターやUBIの構成部門の源流であり、金子邦彦先生が統括されたCOE「複雑系としての生命システムの解析」の一環で菅原正先生が推進されていました。私はそのプロジェクトの1期生です。多くの共同研究にも取り組むこともできて、特に、金子邦彦先生、池上高志先生、竹内昌治先生それぞれと共著の原著論文に関わることができたのは貴重な経験になっています。また、同世代で、同じ志をもって研究をしている、伊サレント大学のパスケル・スタノさんやトレント大学のマーティン・ハンジックさんにも知り合うことができました。彼らの活躍も大きな刺激になっています。
豊田 太郎先生
[質問4]

学生(学部生)に向けてメッセージ

 好きなことや得意なことを、とことん学んで、さらに興味のアンテナも広げて、好き・得意なことに結びつけて考えたり行動したりしてみてください。一見すると関係ないと思われる事象も、つなげて考え行動してみると、自身にとっても、世の中にとっても注目すべき新たな景色に気づくと思います。なお、化学という学問は、生成AIが普及してきても、中心的な原理規範があまり変化していないのではないでしょうか。「化学のパラダイムシフトは、生命システムの普遍性に焦点をあてる物理学と連動した『生命システムを構築する化学』の先にあるのでは、という直感が私にはあります。化学好きの学生さんも、UBIの活動に関心をもって研究することで、将来、先陣をきって化学にパラダイムシフトをもたらしてくれることを期待しています。