[質問1]
なぜ研究者になったのか
研究者になった理由の前に、専門である生物物理やソフトマター物理に興味をもったきかっけを2つ挙げます。1つは、私が内臓逆位(臓器の位置が通常と左右反転)だったことから、人(生物)の身体の構造は大きく違っていても、ほぼ同じ生命機能が実現する、一種のロバストさに感心していたことです。2つめは、研究対象としては生物・生命に興味をもちつつも、学問の特性や理解の仕方としては、普遍性を追求する物理学の方が好きだったことです。これを背景に、研究室配属を考える時(理学部物理学科の3年時)に、生物物理やソフトマター物理という研究領域があると知り、それに関係する研究室を志望しました。学生時の最初の研究テーマは、脂質膜小胞(リポソーム)を用いた膜の相分離についてです。このテーマは、所属先の教授に提案されたものでしたが、実験を進めるにつれて、相分離が膜変形と結合すると分かり、大学院ではそれを集中的に研究しました。
研究者をめざしたきかっけは、先に研究者を目指していた少し年上の友人達の影響が大きいように思います。所属していたお茶大の友人を通じて知り合った東大や京大の友人達や、所属していた生物物理若手の会のメンバーら(旧金子研のメンバーにも大いに影響を受けました)と自主ゼミやセミナーをして物理・研究の面白さを実感したり、彼・彼女らの賢さに圧倒されたりする日々のなかで、徐々に研究者になることを目指すようになりました。特に大きなきかっけがあったわけではないです。