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SPECIAL CONTENTS 01研究者探訪03

柳澤 実穂
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東京大学大学院総合文化研究科/
理学系研究科物理学専攻 准教授 MIHO
YANAGISAWA
柳澤 実穂

2009年 お茶の水女子大学大学院
人間文化創成科学研究科博士過程 修了
2019年より現職
研究内容
ソフトマター物理学・生物物理学
[質問1]

なぜ研究者になったのか

 研究者になった理由の前に、専門である生物物理やソフトマター物理に興味をもったきかっけを2つ挙げます。1つは、私が内臓逆位(臓器の位置が通常と左右反転)だったことから、人(生物)の身体の構造は大きく違っていても、ほぼ同じ生命機能が実現する、一種のロバストさに感心していたことです。2つめは、研究対象としては生物・生命に興味をもちつつも、学問の特性や理解の仕方としては、普遍性を追求する物理学の方が好きだったことです。これを背景に、研究室配属を考える時(理学部物理学科の3年時)に、生物物理やソフトマター物理という研究領域があると知り、それに関係する研究室を志望しました。学生時の最初の研究テーマは、脂質膜小胞(リポソーム)を用いた膜の相分離についてです。このテーマは、所属先の教授に提案されたものでしたが、実験を進めるにつれて、相分離が膜変形と結合すると分かり、大学院ではそれを集中的に研究しました。

 研究者をめざしたきかっけは、先に研究者を目指していた少し年上の友人達の影響が大きいように思います。所属していたお茶大の友人を通じて知り合った東大や京大の友人達や、所属していた生物物理若手の会のメンバーら(旧金子研のメンバーにも大いに影響を受けました)と自主ゼミやセミナーをして物理・研究の面白さを実感したり、彼・彼女らの賢さに圧倒されたりする日々のなかで、徐々に研究者になることを目指すようになりました。特に大きなきかっけがあったわけではないです。
[質問2]

研究生活

 学生時代は、朝10時から夜中10時頃まで研究室にいることが多かったように思います。修士時には、特許庁で週2日バイトをしており、その分、土日は研究室にいました。特許庁では、AFMやコロイド界面の特許資料を読んでおり、英語に限らない外国語の関連資料を検索する能力がついたように思います。一方で子どもが生まれてからは、朝9時頃ラボに来て18時頃には帰宅する、というスケジュールになっています。もちろんこれだけの時間で全てを終わらせることが度々困難になるので、自宅でも仕事しています。

 研究室のスケジュールとしては、研究進捗報告のゼミを、週1回、オンラインで朝9時から11時頃までしています。研究室は駒場にありますが、兼担している理物所属の学生さんは本郷で対面授業にでる必要があったり、また実験を効率よく実施するには朝9時開始が良かったりするので、早朝オンライン実施の現形式が、コロナ以後も維持されています(研究室の総意で実施していることを強く主張!)。ただし、テーマが多岐にわたるので、研究内容のより詳細な議論は、3人位のグループ単位で隔週に対面実施しています。また、厳密なコアタイムはありませんが、安全管理のために、ポスドク以上の誰か1人はラボにいるようにしています。
柳澤 実穂
[質問3]

UBIの研究への関わり

 2019年1月に着任した後、5月からUBIに参加しています。研究テーマのうち、細胞内でもみられる相転移(ガラス、相分離、ゲル化など)については、石原先生や池田先生に議論にのってもらっています。共同研究までは言っていませんが、分からない時にSlackで気軽に質問する、研究についてざっくばらんに話す、ということは良くあります。また、助教の本田さんは澤井研出身なので、澤井研の装置(AFM、マイクロ流路デバイスの作成装置、蛍光分光計など)をよくおかりしています。
UBIが提供する全学ゼミへも2019年夏から参加しており、多くの学部生が柳澤研究室にて実験的研究を行い、いくつかの共著論文が出ています。現在、教養学部4年生の増田君は、学部1年生からラボに出入りしていて、現在2つ目の研究を実施しています(1つは共著論文が出版済み)。また、教養学部3年生の赤嶺さんは、相分離に関する実験をしており、一部のDNA合成については市橋先生のサポートを受けています。このように、この実験がしたい、理論的に議論したい、などと思った時に、気軽に相談できる仲間がすぐに見つかるUBIは素晴らしいなぁといつも思っています。
柳澤 実穂
[質問4]

学生(学部生)に向けてメッセージ

 UBIには、生命の普遍的性質を理解するという大目的のために、多様な専門分野の研究者が集結しています。色んな側面からみることで、新たな生命の面白さ、学問の面白さが分かると思います。生命が好きな人だけでなく、嫌いな人も案外足を踏み入れてみると、予想外の面白さが見えるのではないかと思っています。ぜひ、UBIの全学ゼミをチェックしてみてください。